本記事では一人社長向けのオフィスについて紹介します。
仕事環境として大きな役割を果たすオフィスですが、一人社長向けに用意する場合はどの形態が良いか、紹介していきます。
会社設立にはオフィスは必須!
会社を設立する段階で、会社の住所を登録する登記が必要となります。
この登記を行うためには、会社の本社を設置するための住所が必要となります。どこか適当な住所でも登録しておけば。。。といったことはできません。必ず代表が契約している住所である必要があります。
創業直後では会社宛てに税務署や年金事務所、銀行関連など様々な郵便物が届くこともありますので、当然ポストなど郵便物を受け取れる状態でなければなりません。
そして会社を経営していくにあたってオフィス選びは大変重要です。会社の経営はオフィス選びから始まっていると言っても過言ではありません。
では一人社長に向けたオフィスにどのような形態があるのか紹介していきます。
オフィス形態と特徴を紹介
自宅兼事務所
特徴
住まいをそのままオフィスとして利用する形態でホームオフィスとも呼ばれています。
個人事業主や副業をしている人などにお勧めで、すでに住んでいる家を仕事場にできるので、外出をしなかったりPCがあれば作業できてしまう業種などにお勧めです。
メリット
- 通勤負担がない
- 家賃負担を減らせる
- 家賃と光熱費の一部を経費にできる
デメリット
- 大家の許可なしに登記できない
- 公私の切り替えが難しくなる
- 大きな設備投資が難しい
自宅をそのまま事務所として登記しているので、満員電車に乗って長い通勤時間を浪費したり、ランチ時にサラリーマンだらけの込んだお店でお昼ご飯を掻き込むようなことが無く、悠々自適に仕事ができるはずです。
また、自宅とはいえ部屋の一部を仕事に利用しているので、その範囲分の家賃や光熱費を経費とすることができます。
しかし、持ち家なら特に問題ないですが、賃貸の場合は事務所として利用していいか、大家に相談する必要があります。
また、自宅を登記してしまうと、公的資料に自宅の住所が明記されてしまうので、プライバシーの観点ではあまり良いとは言えません。
デメリットをあまり気にしないという方で自宅を登記できる人ならお勧めです。
バーチャルオフィス
特徴
入居はせずに住所や電話番号、FAX番号などをレンタルできるサービス。
固定のオフィスを必要としない事業にお勧めだが、オフィスとしての実態がないため嫌煙されることも。
メリット
- 比較的低料金
- 都内の一等地に住所を持てる
- 電話やFAX、郵便などの受け取りも行ってくれる
デメリット
- 業務スペースがない
- 実態がないので企業として信用度が下がる
- 金融機関で口座開設の審査が通らない可能性が高い
- 上記とともに融資の審査が通らない可能性が高い
バーチャルオフィスは住所のみの貸し出しを行うようなサービスで、電話の転送や郵送物の受け取りなどを代行してくれる場合もあります。
自宅が登記できないが、自宅で仕事が完結してしまう。自宅を登記して住所を知られたくない、人を雇わないのでオフィスはいらない。といった人にお勧めの登記方法です。
デメリットをあげるとしたら、事務所を構えていないことが企業の実態がないと取られてしまい、世間からの信用度を得られにくいといったことが挙げられます。
一般のお客様からは特に問題はありませんが、融資を受けたり銀行口座を開設する際に難色を示される可能性は高まります。
ネットバンクなら問題ないと思いますが、メガバンクや地銀などは事務所の実態があるかどうかを確認しにきたりもしますので、もしかしたら口座開設は難しいかもしれません。
コワーキングスペース
特徴
特定の座席が無く、ほかの利用者とともに執務室を共有する形態。
家賃ではなく会費として費用を払う場合が多く、バーチャルと違って業務スペースが欲しい業種に最適です。
メリット
- 比較的費用が安く設定されている
- オフィス機器や商談スペースがある施設が多い
- ほかの利用者と交流ができる
デメリット
- 個室がないためセキュリティに不安がある
- 固定番号が設置できず、郵便物の受け取りができない場合がある
- 金融機関で口座開設の審査が通らない可能性が高い
- 上記とともに融資の審査が通らない可能性が高い
コワーキングスペースは会員制のカフェのようなイメージを持ってもらえるとわかりやすいかもしれません。
住所登記もでき、スペースに行けば作業場所としては座席も確保できるので、普段からカフェなどで仕事をしている人にとってはなじみやすいかもしれません。
デメリットとしては、個室が無いので情報漏洩などのセキュリティ面に問題があり、電話番号の用意なども難しく、場合によっては郵便物の受け取りができないこともあります。
また、ミーティングスペースは用意できますが、やはり個室ではないということで銀行などからはあまり良い印象を持たれない場合があります。
シェアオフィス
特徴
一つの賃貸オフィスを複数の企業で同居した形態で、執務スペースに間仕切りがある場合が多い。
コワーキングと比較すると個人用の業務スペースが確保でき、集中して業務にあたることができる。
メリット
- 賃貸だが共有なので賃料が安い
- オフィス機器や商談スペースがある施設が多い
- ほかの利用者と交流ができる
デメリット
- 個室がないためセキュリティに不安がある
- 固定番号が設置できず、郵便物の受け取りができない場合がある
- 金融機関で口座開設の審査が通らない可能性が高い
- 上記とともに融資の審査が通らない可能性が高い
フェアオフィスは一つのオフィスを複数企業で同居して執務スペースを分けている形です。
コワーキングスペースと違って誰でも出入りできるわけではなく、分割のために安い賃料で少し広めのスペースを確保することが可能です。
場合によっては金融機関から難色を示されますが、コワーキングやバーチャルと比較すればまだ優遇される事務所となります。
レンタルオフィス
特徴
個室で仕切られた個室空間を各企業がレンタルする形態。
会議室やラウンジなどは共有スペースとして用意されており、他社とは適切な距離感を保つことができる。
信頼感やセキュリティに一定レベルのオフィス環境を求める企業向け。
メリット
- オフィス機器や商談スペースがある
- 個室なのでセキュリティを保てる
- 個人から複数人向けの様々なサイズの個室がある
- 応接室なども用意されている場合がある
デメリット
- 他事業社との共有のため応接室が使えないことがある
- 物販など在庫は置けない
レンタルオフィスは各部屋が完全に独立しており、セキュリティレベルも他と比べるとかなり良質な設備がそろっています。
また、一般的な業務に必要なオフィス機器が用意されており、郵便受けなども入居者ごとに用意されています。
応接室が完全予約制になっていていつでも利用できない可能性もありますが、その分フリースペースなども設けられていることが多く、軽いミーティングはそちらでも可能です。
また、様々な規模の部屋が用意されているので、ひとりから複数人などオフィスのサイズを選びやすいのも特徴です。
金融機関や融資などについては特に問題なく審査を進めてくれます。
賃貸オフィス
特徴
自社で独占できるスペースを借りるオフィス形態。
自由度が高く、業務内容や業容にあった物件を選ぶことができる。
メリット
- 自社オフィスという信頼感を得ることができる
- 自社スペースなので内装など自由にできる
デメリット
- 賃料のほかに保証金やオフィス設備の導入費など膨大な費用と手間がかかる
- 移転する際に大きな労力がかかる
- 一人社長としては持て余す広さ
一般的な会社のオフィスと言える賃貸契約です。
自社オフィスなので物件次第ではオフィスの内装も好きに改装でき、会社を運営していくモチベーションとしてはかなり効果的です。
もちろん、レンタルなどと違って改装費用や契約金など、かなりの資金が必要となってきます。そして規模も大きくなってきますので、一人社長としては無用の長物と言えるでしょう。
起業後に会社が大きくなってから利用することを検討しましょう。
融資は必要?オフィス選びから融資は始まっている!
創業してすぐに融資が必要と考えている一人社長は、オフィス選びから注意が必要です。
上記で各オフィスの形態について紹介しましたが、自宅やバーチャル、コワーキング、シェアでは金融機関の口座開設や融資が受けられない可能性があるからです。
特に融資を受ける際は、担当者がオフィスに訪問し、その企業の実態が正式に存在しているか確認に来るからです。
昨今では、口座の開設自体が難しくなってきていますが、その理由としては、詐欺業者やマネーロンダリングなどの増加を防ぐためと言われています。
特にバーチャルオフィスなどは人を置く必要がなく、もし詐欺業者だったとしたら登記されている住所でそんな事業は行いたくないですよね。
そのため、銀行側としてもきちんと事業実態があるのかどうかを確認するために、オフィスへ訪問をしてくるのです。
融資を受けずにできる事業なら問題ないですが、もし融資をうけるなら必ずレンタルオフィスにするか、オフィス契約が可能な物件を探すべきです。
一人社長にお勧めのオフィス形態とは
融資を受ける必要があるならば必ずレンタルか賃貸、融資は特に必要ないのなら好きな形態でよいと思います。
もちろん、広い賃貸を借りる必要はほとんどありませんので、自分が必要なスペースだけを借りましょう。
特に起業したての時は費用をなるべく安くしたほうが良いので、無駄に高い家賃や不要なスペースが多い事務所はお勧めできません。また、住んでいる家からなるべく近く、かつ人気過ぎない地区で借りることをお勧めします。
レンタルオフィスはその地区の1平米辺りの土地代を考慮して家賃を設定しますので、渋谷などの人気地区だと狭いのに高額な家賃を払う必要が出てくるのです。
まとめ
一人社長として起業する場合は、オフィス選びから勝負は始まっています。
顧客との取引において事務所の所在はそこまで大きく影響を受けることはないと思いますが、金融機関や融資などを必要とする場合は注意しましょう。