一人社長で会社を設立した場合、自分への給料はいくらにすべきか?
また、絶対に守るべき給料ルールなどを紹介していきます。
役員報酬額は自由!でもルールがあります。
まず初めに、一人社長として会社を設立した場合、自分に支払われるお金は給料ではなく役員報酬といいます。
雇われている側のサラリーマンでは、自分の働いた勤務時間や役職手当など、査定による昇給などによって給料が決まってきますが、一人社長として役員報酬を支払う場合は、金額は自由です!
0円だろうと100万円だろうと、そのように支払うと決めた場合はその通りに支払われます。
さらに、役員報酬は働いた時間などに左右されず、1か月でいくら休もうと、そしていくら働こうと同じ金額の支払いとなります。
残業手当といった概念はなくなりますので、自分の裁定次第になります。
ではまず、役員報酬(給料)はどのようにして決めるべきかを説明します。
役員報酬(給料)の決め方
一人社長の会社は給料を自分で決められます。
0円から上限はなし、1億でも2億でも問題ありません!(そんな額出せるわけないですが。。。笑)
基本的には会社の財政状況や月々の利益などから自身の給料を決めるのが普通ですが、金額を決めた後支払いを行う際に、あるルールに沿う必要があります。
そのルールとは以下の通りです。
- 定期同額給与
- 事前確定届け出給与
- 利益連動給与
上記のルールに沿った役員報酬の支払い方をしなければ、役員報酬を損金として認めてもらえないので、法人税を無駄に払ってしまうことになります。
定期同額給与
定期同額給与とは、毎月必ず決まった金額の報酬を役員に支払う給与形態です。
役員には残業や有休休暇といったものが存在しないので、どれだけ働いてもどれだけ休んでも関係なく、毎月全く同じ額の報酬を支払うことで、定期同額給与として損金として認められるのです。
この金額は毎年新しい期が始まってから3か月以内に改定する期間が設けられ、変更する金額は必ず株主総会で同意を得ていないといけません。
株主総会を開かなかったり、新しい期から3か月以外の時に支払額を変更してしまうと、定期同額給与として認められず、今まで支払ってきた報酬は全額損金として認められません。
事前確定届出給与
事前確定届出給与とは、税務署に報酬が支払われる時期と金額を事前に提出ことで、損金として認められる報酬となります。
基本的に役員については世間的なボーナスは存在しません。
しかし、事前確定届出給与にて予め支払う金額と時期を提出しておくことで、疑似的なボーナスとして扱われるのです。
一見とてもお得に思われる制度ですが、これは税務署に提出した場合、必ず指定した日時に指定した金額の支払いを行わなければなりません。
会社が好調な時期なら何も問題ないですが、会社の資金繰りが厳しい時や下火の時に時期を指定されていた場合は、苦しい状況でも必ず払う必要があります。
リスキーな方法でもあるので、役員報酬として事前確定届出給与を設定する場合は注意しましょう。
利益連動給与
利益連動給与とは、事業年度の利益に関する指標を基として役員に報酬が支払われる方法となります。
しかし、この利益連動給与は上記二つとは異なり、「同族会社」ではない会社であるという条件が付いています。
同族会社とは、会社の株主が三人以下で、これらとは特殊な関係にある個人、または法人が議決権の50%超を保有している会社です。
基本的に一人社長は自社の株を50%以上持っている場合がほとんどですので、同族会社として部類されてしまうため、利益連動給与は設定できません。
そのため、一人社長の場合は定期同額給与か事前確定届出給与のどちらかを選択しましょう。
損金にするには給与のルールに従うべし
上記のルールに沿わずに、毎月好きな金額を設定して支払ってしまうと、役員報酬を損金として扱われなくなってしまいます。
もし損金として扱われない場合、給料を支払う前のお金に対して法人税がかかってしまいます。
例えば、年間利益が1000万で役員報酬(給料)を年収600万とした場合・・・
役員報酬が月50万円固定で支払えば1000万-600万=400万にたいして法人税がかかります。
次に、年収は600万円でも毎月好きな金額で適当に支払った場合は、
1000万-600万=400万とはならず、1000万にたいして法人税がかかります!
利益額によって税率は変わりますが、20%で考えてみると・・・
- 400万×20%=80万
- 1000万×20%=200万
なんと120万円も差がでます!無駄な税金を払ってしまわないよう注意しましょう。
役員報酬は払わなくてもOK?メリットデメリット
役員報酬を0円に設定して、自身に給料を支払わない方法も可能です。
その場合は様々なメリットデメリットがありますので、確認してみましょう。
メリット
- 会社にお金を最大限残せる
- 来年の住民税が最低ランクに
自らに役員報酬を払わなければ、会社のお金は減らずに、利益を最大限に会社に残すことが可能となります。
そして年収が0円ならば、来年に発生する住民税は最低ランクまで引き下げられるので、個人ではかなりの節税効果が見込めます。
デメリット
- 生活資金がどんどん赤字に
- 社会保険に加入できなくなる
- 法人税が最大値に
デメリットとしては、収入が途切れてしまうために生活費が嵩めばそれだけ生活資金がどんどん赤字になっていきます。先何年も生活できるだけのお金を既に貯金しているとしても、日に日に貯金残高が減っていくのはかなりのストレスになると思われます。
そして、会社からの収入が無ければ役員報酬に対して発生する源泉徴収もなくなるため、社会保険に加入できなくなってしまいます。その場合は、個人で国民健康保険に加入手続きをしなければいけません。
また将来貰える国民年金の額も減少してしまうため、かなりのデメリットだと言えます。
最後に、会社の利益が全て残るということは、法人税がかかってしまうということです。役員報酬は正しい手順で支給していれば損金として処理されるため、法人税を安くすることにつながります。
会社の総利益に発生する法人税と、役員報酬を払って発生する源泉徴収を比較すべきでしょう。
まとめ
自身への給料の支払いに関するルールを説明しましたが、必ず固定額を毎月支払うか、事前に税務署に申請を出して給料を決めておきましょう。
また、報酬を0円にする方法ですが、生活費を賄うことが一切できなくなるので、あまりお勧めはできません。
いくら会社に資金を最大限残せるとしても、結局は法人税で持ってかれてしまいますから、利益がいくら出るか不安な場合は最低限の生活費分は報酬として受け取るようにしておきましょう。